着物で意外に難しいことのひとつが和装コートの着かただと思います。
ここで言う「和装コート」というのは、和装コートとして売られているものの他、羽織や道行など和装用コート全般を指しています。
和装コートを着る季節はいつからいつまでなのか決まっているのでしょうか?
というのも「帯つきは、はしたない」ということを聞いたこともあります。帯を見せたまま外出するのは、身だしなみとして良くないってことです。
でも、寒くもないのに無理に羽織るのもなぁ…とも思います。
こんな和装コートについて言われているあれこれについて紹介します。
一般的には紅葉から桜までと言われているが…
一般的に言われるのは、「紅葉から桜まで」は何かを羽織る、ではないでしょうか。
これは単純に外出時、寒くなったら羽織やコートを羽織って温かくなってきたら羽織らない、ということですよね。
それであれば、至極シンプルでいいのですが…。
一方で、上でも書いた「帯つきは、はしたない」ということで、本当に暑い盛り以外の外出時は何かしら羽織るべき、という考えの方もいます。
特に年配の方はこう考えている方が多そうです。
この両者は、どちらが正しいというのは難しいようですが、最近は特に普段着としてならあまり気にしなくてもいいみたいです。
ただ羽織は、洋服でいうカーディガン~ジャケットに相当するので、少しかしこまった席では羽織っていた方が良い、とも言われます。羽織は屋内で着ていても問題ないですし、特に丈が長い長羽織はセミフォーマルな印象もあります。
また、外出時に着物の埃よけを目的として羽織るというべき、という話もあります。
裏地のない羽織など薄手のものであれば、夏の間も冷房の寒さ対策でも使えますしね。
ただし羽織が使えるのは略礼装までで、正装の場には適しません。
礼装時の移動には基本必須
礼装をしている時の移動時は、道行コートを羽織ることがルールです。
イブニングドレスやパーティードレスのままで移動しないのと同じように、礼装時は帯つきでは移動しないようにします。
そして礼装時に使える和装用コートは道行コートとなります。
これはルールであり、また高価な礼装用の着物や帯を移動中のアクシデントから守る意味もあります。
ただ道行コートは洋装でのコートと同じですので、着たままでは席につくことはできません。
玄関先や会場に入る前に脱ぐ必要があります。
結局はTPOで
和装用コートには、羽織や道行コート以外にも、特に防寒用として「和装コート」として売られている襟周りや袖周りを広く作ってあるコートや道中コート、それに着物用でなくてもポンチョコートやショールなども使えます。
礼装時は道行コートを着るとしても、ちょっとしたお出かけに着物を着るなら、和装用コートもいくつかあると便利だと思います。ポンチョコートはカジュアルでしか使えませんが、普段から着物を着るときのおしゃれとして使えます。
もちろん道行コートでも普段のおしゃれに着ることはできますが、柄や模様などには気を配るといいと思います。
特に電車やバスなどを使って移動するのであれば、防寒対策だけでなく帯や着物を汚したり引っかけたりして痛めてしまわないように上に羽織るものがあった方がいいと思います。
ルールというよりも、ご自分の着物を守るためにです。
逆に、普段着で近所に買い物へ行くのなら、寒くなければわざわざ羽織らなくてもいいかもしれません。
でも、身だしなみとか着物を大事にすると同時に、羽織るものでおしゃれをしてみるのも楽しいと思います。
特に羽織は室内でも脱がなくてよく、また着物に変化をつけるおしゃれ着としても重宝します。
ただしお茶席では羽織らないことになっていますから注意してくださいね。
あと、雨用のコートは絶対ひとつは用意しておきたいですね。